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Hitachi

ビルIoTソリューション「BuilMirai」
開発プロジェクト

昇降機とのシナジーを生かした
ソリューションの開発
より快適なビル空間を社会へ

日立ビルシステムは、ビルソリューション分野の主要商品である統合型ファシリティマネジメントソリューション「BIVALE(ビヴァーレ)」(※1)で長年蓄積してきた技術を生かし、2023年より、中小規模ビル向けの新たなビルIoTソリューション「BuilMirai(ビルミライ)」(※2)開発プロジェクトを始動。2025年4月に基本機能をリリースし、今後も、昇降機との連動や設備監視機能の追加等、機能拡張し順次リリース予定だ。本プロジェクトに携わる4人の技術者に、これまでの苦労や醍醐味、プロジェクトの成果などについて語り合ってもらった。

(※1)BIVALE(ビヴァーレ)
(※2)BuilMirai

PROFILE

  • 所属は取材当時のものです。
  • デジタル統括本部 デジタル開発本部
    サービスプラットフォーム開発部 サービス基盤開発グループ

    丸岡 泰

    2013年入社/理工学研究科 機械工学専攻

    入社後、ビルシステム開発部に配属され、エレベーターの新機種リリースに向けた関連システムの保全ツールの設計・開発や、昇降機の診断機能の開発に従事。その後、お客さまのビルを24時間体制で見守る管制センター(※3)のためのシステム開発や、フィールドエンジニア向けのシステム開発を担当。2022年より現部署。マルチサービスHubというソリューションサービスの共通基盤の開発に従事し、クラウド録画の共通機能の開発、維持・運用を担当。本プロジェクトでは、ユーザー認証領域を担当した。
    (※3)管制センター

  • デジタル統括本部 デジタル開発本部
    エッジシステム開発部

    大竹 晋資

    2015年入社/工学研究科 電気・電子情報工学専攻

    入社後、現部署に配属され、オフィスビルやマンション向けのビル管理ソリューション製品の設計・開発を担当。2015年〜2016年にコミュニケーションロボット「EMIEW(エミュー)」(※4)のサービスシナリオ作成およびPoC(概念実証)を担当。2020年〜2022年に「BIVALE」の顔認証機能の開発を担当。2023年より現部署。本プロジェクトでは、現地に設置する制御装置の開発、スマートフォンを活用した認証機能の開発を担当した。
    (※4)EMIEW(エミュー)

  • デジタル統括本部 デジタル開発本部
    サービスプラットフォーム開発部アプリケーション開発グループ

    都倉 健司

    2017年入社/理学部 物理科学科

    入社後、グローバルソリューション事業部ソリューション開発設計部ソリューション設計グループに配属され、「BIVALE」や「ダブルセキュリティ」などのソリューションサービスにおける、お客さまのご要望に応じた設計を担当。2023年より現部署。本プロジェクトでは、新規サービスの開発と、サービスを提供するにあたっての社内向けツール(仕様登録や現地立ち上げ作業用)の開発を担当した。

  • デジタル統括本部 デジタル開発本部
    サービスプラットフォーム開発部アプリケーション開発グループ

    秋丸 雄佑

    2018年入社/工学研究科 知能システム工学専攻

    入社後、グローバルソリューション事業部ソリューション開発設計部システム開発グループに配属され、「BIVALE」の開発・運用を担う。2023年より現部署。本プロジェクトでは、新規サービスの検討から機能の設計開発、システム構築まで一括対応した。、各工程においてさまざまな部署との協力が必要なため、、大勢の関係者間の調整に奔走しつつ、主にBuilMiraiサービスの開発チームの取りまとめを担った。

THEME 01

「BuilMirai」開発に向けた
ぞれぞれの役割と思い

秋丸

秋丸入社以来、自分が開発・運用に携わってきた、統合型ファシリティマネジメントソリューション「BIVALE(ビヴァーレ)」で培った技術を生かし、昇降機とパッケージングされた新たなソリューションプロジェクトが始動する…そんな計画を聞いた時、ワクワクしたのを覚えています。アサインされた後は、新サービスの内容検討から機能の設計開発、システム構築までを包括的に担う部署に所属し、管制センターと現場のビルの橋渡しをメインで担当しています。

都倉

都倉私はこれまでに、お客さま向けに「BIVALE」や「ダブルセキュリティ」(※5)の設計を担当し、その過程でお客さまからさまざまな要望を伺ってきました。本プロジェクトではそうしたマーケットニーズを反映したサービスの創出をめざすということで、挑みがいがあると感じていました。そんな中、プロジェクトの初期段階では、サービス内容・画面の検討に携わり、それらがある程度固まった後は、ビルIoTソリューション「BuilMirai(ビルミライ)」のサービスを提供するために、当社の従業員が使う立ち上げツールの開発を担当しました。
(※5)ダブルセキュリティ

大竹

大竹「BIVALE」や「ダブルセキュリティ」といった製品の顔認証機能の開発を担当したり、コミュニケーションロボット「EMIEW(エミュー)」の開発に携わるなど、新たな技術やサービスの開発に携わっていたことから、本プロジェクトではスマートフォン(以下、スマホ)を使った新しい認証方式の開発を任されました。これまでのカードを使った認証では、カードを持ち歩く必要や、発行するのに時間を要するなどの課題がありました。その煩わしさを解決できる手段として、多くの方が持っているスマホを使った認証は、ユーザーからも待ち望まれていると思い、また必ず開発を完遂せねばと決意を新たにしたことを覚えています。

丸岡

丸岡私は元々、スマートビルを支える、マルチサービスHubという共通基盤の開発に従事していて、クラウド上での映像録画機能の開発や、お客さまに提供・納品している昇降機システム環境の維持・運用を担当していました。本プロジェクトでも、クラウド環境に、「BuilMirai」を構築するということになり、基盤環境周りとその共通機能のインフラ開発担当として参加しました。

THEME 02

未知の課題にいかに挑み
どう乗り越えたか?

秋丸

秋丸プロジェクト開始当初懸案だったのは、関係者一同、何をゴールに据えどのようなサービスを実現すべきか、というベクトルが定まり切っていなかったこと。しかし、プロジェクトには期限があるため、ある程度方向性を定めて進めていく必要があり、精神的にプレッシャーを感じていました。当初の構想では、「あったらいいよね」と導入を予定していた機能もたくさんありましたが、試行錯誤の末、採用を見送ったものがいくつもありました。

大竹

大竹私も秋丸さんと同じ気持ちでした。私が担当した部分でも最初は、「スマホで認証できたらいいね」という大枠の目標以外は定まっていなかったので、さまざまな選択肢がある中で具体的にどのように最善の手を見出していくか、に苦労しましたね。

丸岡

丸岡私が担当する基盤環境周りは、実現すべき機能が明確で、開発側で進められるところがあったので、皆さんが暗中模索する中でも比較的作業をしやすかったと感じます。とは言うものの、やはり苦労を伴うものがありました。具体的には、認証機能はバックエンドやフロントエンド、外部システムなど、あらゆるシステムとの連携が必要なため、各開発担当者と調整には多くの時間を要しました。また、管制機能についても、複数のシステムを経由してデータ連携を行う必要があり、オンプレミスに存在する既存システムとクラウドの併用も考慮するなど、細かい調整が求められました。

都倉

都倉私はそもそも開発の経験がなかったので、最初の頃は周りの方々が発する専門用語やプロジェクトの進め方も分からないことが多く、他のメンバーについていくのが精一杯でした。経験豊富な方々と積極的に会話をしたり、他の方がやっていることを見よう見まねでやってみたりしながら、とにかく知識を得て、関係性を構築することに努めていました。

大竹

大竹プロジェクトスタート当初以降も苦労は続きました。特に大変だったのは、スマホをベースとしたシステム構築が初めてだったことに加え、BLE(Bluetooth Low Energy)の技術も未経験だったことです。地道に調べながら小規模なテストアプリを作成し、動作検証を繰り返していきました。思った通り動かなかったり、思ってもみないエラーが出たりと、文字通り試行錯誤を重ねていき、最終的に1年以上かけて、システムを作り上げました。

THEME 03

プロジェクトが当社とご自身に
もたらしたものとは?

秋丸

秋丸スマホでの認証をはじめ、今まで実現できていなかった新しい概念のサービスを作り上げたことで、お客さまの新しいニーズに応えることができるようになりました。また同時に、各ソリューションの商品と昇降機を連携させることで、当社一丸となって事業活動を行なっていくベースが構築できたと感じます。

都倉

都倉私もそう思います。本プロジェクトでは、昇降機部門とソリューション部門が知恵とアイデアを持ち寄り、部門を超えたシナジーが生まれ、今後の糧となるプロジェクトになったと言えるのではないかと…。

丸岡

丸岡元々、昇降機の開発を担っている中で、ソリューション部門について意図しない距離感のようなものを感じていました。これは、それぞれが独立したアプローチでビジネスを展開することが多く、文化も違っていたことが理由だと感じます。そういう意味で今回、昇降機とソリューションのコラボレーションを前提につくり上げた「BuilMirai」の価値は非常に高いと思います。

秋丸

秋丸既存の「BIVALE」に対して、「BuilMirai」は操作が容易で分かりやすいものになっていると自負していますが、これも各分野の第一人者の意見を集約していった結果です。

丸岡

丸岡話は変わりますが……。私が本プロジェクトに関わって学んだことは、全部を一人で抱え込む必要はないということです。この人に依頼した方が、仕事が早く進むということが多々あって。メンバー間で対話を重ねながら、円滑にプロジェクトを進めるやり方を体得できました。

秋丸

秋丸同感です。私たちをはじめ、こうした大規模プロジェクトの経験者が増えることで、当社の人財育成の糧にもなったと思います。

大竹

大竹プロジェクトは大変なことも少なくありませんでしたが、その分、嬉しい瞬間もたくさんありました。実際にスマホでの認証が成功した時はもちろん、2025年4月にリリース後、初めてお客さま先に納めて、実際に使用していただいた時の達成感は忘れられません。

都倉

都倉私は、自身が作成を担当したツールについて、「より便利になったね」という感想をいただいた時が、最も嬉しい瞬間でした。

秋丸

秋丸モノがなくて、ドキュメントだけだったものが年月をかけて形となり、しっかりと動作していく…シンプルですが、動作する最初の瞬間の感動は、何度経験しても格別です。

THEME 04

プロジェクトの経験を糧に
これから挑戦したいこと

大竹

大竹プロジェクトに一区切りつきましたが、今後の展望はいかがですか?

秋丸

秋丸現段階で、基本機能のリリースは完了しているので、今後は昇降機との連携強化や設備監視機能の追加等、順次、機能拡張していく予定です。今後、具体的に開発していく中身に関する構想や要件を取りまとめていくことになります。今度は、最初からゴールが見える形で詰めていき、よりスムーズに開発を進めていきたいですね。

都倉

都倉これまでは、エクセルベースでお客さまに仕様などの要望を記入していただき、それをシステムに取り込むという段取りで仕事を進めることが多かったですが、目下、ウェブ画面でやりとり全てを完結させるというサービスの開発に着手しています。これを完成させ、お客さまにより使いやすく利用しやすいサービスを提供できればと考えています。

大竹

大竹今後、スマホ認証の機能の向上をはじめ、さまざまなことに挑んでいくと思いますが、プロジェクトごと経験や知識をどん欲に吸収し、エンジニアとしてできることを増やしていきたいです。特に要件定義に関しては、より精度の高い定義を行えるようになりたいですね。

丸岡

丸岡本プロジェクトでは、開発で重要なのは、「誰が何を売りたいのか、どういうものを作りたいか」という視点、そしてスピード感だということを学びました。それを実現するためには、開発だけでなく、事業部門、品質保証部門、営業部門も含めて、アジャイルのサイクルを回す必要があるのではないかと考えています。

秋丸

秋丸確かに。そうした中でも当社の強みになるのは、昇降機とソリューションの両方を、一つの会社で作れるということ。今後も、昇降機とセットでソリューションを提供することで、ビルを丸ごと当社に任せていただき、当社とお客さまの次の10年のより良い関係を構築していきたいですね。

都倉

都倉そうですね。「BuilMirai」をさらにブラッシュアップして、より魅力的なサービスにしていきましょう!