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株式会社日立ビルシステム

防水が施された建物の屋上も、日光や雨水などにより、長い年月を経るにしたがって徐々に劣化していきます。
今回は屋上で起こるさまざまな劣化現象と定期的な点検・保全作業の大切さを考えてみましょう。
執筆=澤田博一(一級建築士)

アスファルト防水とは

イメージ画像

ビルの屋上は平坦で、人が歩けるようにできていますが、室内に雨が漏れないように防水層が作られています。新築時に多い防水仕様は、アスファルト防水熱工法と呼ばれるもので、合成繊維にアスファルトを含浸させたルーフィングというシートを、溶解したアスファルトを接着剤として、何枚か重ね張りして防水層を形成するものです。そして、その上に日射や歩行から防水層を保護する押さえ層というものを乗せることが多く、コンクリートを薄く張ってそれにあてるのが一般的です。

防水層の修繕の時期は?

アスファルト防水層は、寒暖や地震などの挙動による伸縮、雨水の浸入等により徐々に劣化し、ついには破断してその機能を失います。押さえ層がある場合、防水層が直に見えないため、なかなかその劣化状況がわかりませんが、押さえ層の状況から内部の防水層を類推し、標準的な寿命(押さえ層のある防水の場合は20年前後・防水層が露出の場合は10〜15年程度)を参考にして、修繕の決定を行います。【写真1】は押さえ層が風化や凍害により相当傷んでいる例で、【写真2】は露出防水層の表層が破断している例です。このような状況が全面的に見られる場合は、修繕の検討時期に達しているといえます。

写真1
写真1

写真2
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日常的な保全が大切に

屋上防水をなるべく長持ちさせるためにも、日常的な保全が欠かせません。年に数回は屋上に上がり、排水金具(ルーフドレイン)廻りの泥やゴミを取り除き、伸縮目地のせり上がりや脱落は小修繕で手入れを施してください。【写真3】はそれを怠ったため、溜まった土砂に雑草が繁茂している例で、【写真4】は伸縮目地の一部が脱落している例です。どちらも防水層の傷みを促進させます。屋上防水の修繕方法は、既存防水層をいったん撤去して防水層を再敷設する撤去工法と、既存の防水層をそのままにして、新たな防水層をその上に重ねる被せ工法に大別されます。

写真3
写真3

写真4
写真4

シート防水と塗膜防水

定期的なチェックをしているイメージ画像

防水層はアスファルト防水のほかにも、合成高分子シート防水や樹脂塗膜防水等があり、近年マンションでは傾斜屋根をアスファルトシングルや、カラーベスト(コロニアル)といった屋根材で葺く例も多くなってきました。シート防水や塗膜防水は露出の割合が多く、浮き・ふくれ・剥がれ等の不具合を、定期的にチェックすることが必要です。また、屋根材も露出防水層に比べ長持ちしますが、割れ・欠け・剥がれ等の劣化はいずれ生じてきますので、残念ながらメンテナンスフリーというわけにはいきません。

シーリング材もチェックを

写真5
写真5

建具廻りや外壁の目地に充填されている、ゴム状の弾力性のある物質をシーリング材と総称します。劣化現象は、硬化・ひび割れ(【写真5】参照)・破断・脱落等で、平均的な寿命は10年程度といわれており、外壁修繕で足場を組んだ際に併せて、撤去打ち替え工事を行う例が大半です。紫外線に弱い材質や、仕上げ塗料に対して汚染しにくいものなどがあり、適材適所の使い分けが修繕設計のポイントとなります。シーリング材は狭い箇所でとかく見過ごしがちですが、サッシの枠やカーテンウォールのジョイント等各部の水密性を確保する上で重要な部分ですので、定期的なチェックが大切となります。