エレベーターにも寿命があります
エレベーターをはじめとする建築設備は、ビルの長いライフサイクルにおいて、適正な修繕を繰り返し行うことが必要です。しかし、継続的なメンテナンスを施しても、経年劣化を完全に防ぐことはできません。エレベーターも、一定の年月が経過すれば老朽化するため、劣化した部材などをリニューアルする必要性がでてきます。エレベーターの主要装置の耐用年数は概ね20年をめどとしているため、20年を経過したエレベーターには、リニューアルをお勧めしています。
●リニューアルの目安
老朽化による問題点
建物全体での経済効果を考えても20~25年が理想です
建物の寿命は50~60年と言われていますが、経済的観点から試算すると、その寿命はもっと早まり、鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合、経済的耐用年数は40~47年です。エレベーターリニューアルを、経済的耐用年数の半分に当たる20~25年に行うことで、リニューアル後のエレベーターも十分に機能させることができ、経済効果がよくなります。
●建物の寿命とエレベーターリニューアルのタイミング
20年を過ぎると故障によるリスクが高まります
当社が今までに製造・納入したエレベーターのうち、すでに生産を中止している機種については、保守部品の標準供給期間を原則として生産中止後20年としています。供給停止の部品が故障した場合、当該部品の交換ができず、エレベーターを利用できなくなることがあります。
●部品の供給停止とリニューアルのタイミング
「G_Select」「Y_Select」は、老朽化したロープ式エレベーター・油圧式エレベーターの機器を最新型に交換し、エレベーターの若返りを図るリニューアルメニューです。
お客さまのご予算や工期、意匠刷新などのニーズに応じてリニューアルメニューをセレクトできるほか、部品供給停止の問題解決や社会的ニーズに応えた安全機能を強化する機能付加が図れるなど、最新の安全・安心・快適をご提供します。
現行の建築基準法および昇降機耐震設計・施工指針に準拠した「戸開走行保護装置(UCMP)」「初期微動感知地震時管制運転」「停電時自動着床装置」「耐震安全増し」が標準装備され、地震時における利用者の安全確保、早期救出を可能とします。
また、人の乗り降りを検知して戸の挟まれを抑止する「マルチビームドアセンサー」により、お年寄りの方などが安心して乗り降りすることができます。
地震の初期微動を感知し、利用者の避難を誘導
地震発生時、強く揺れる主要動(S波)が来る前の、初期微動(P波)を感知し、最寄り階で自動停止。戸を開き、利用者の避難を誘導します。
主要動を感知しない弱い地震のときは、一定時間が過ぎた後、自動的に運転を再開。また、強い地震のときは、専門の技術者による点検が終わるまで、戸を閉じて運転を休止します。
停電時、バッテリー運転に切り替え最寄り階へ
停電を検知した場合に動力電源をバッテリーに切り替え、自動的にエレベーターを最寄り階まで運行して待機させます。自家発電設備のない建物において、停電時にかご内に閉じ込められる不安を和らげます。
閉じてきた戸の挟まれを抑止する
出入口ほぼ全面にあるセンサーが利用者の乗り降りをチェック。センサーを遮っている間は、戸が閉まらない(強制戸閉時を除く)ため、お年寄りやベビーカー、車いすの方などが安心して乗り降りすることができます。
※写真のビームはイメージです。
リニューアルによるインバーター制御化のほか、付加機能によって省エネルギー化を実現します。
既設油圧式エレベーターから
ロープ式機械室なし標準型エレベーター「アーバンエース HF」
1年間で約335,000円
25年間では約8,375,000円のコスト削減に!
リニューアル前(年額) | リニューアル後(年額) | |
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基本料金 | 22kW : 407,145円 | 6.2kW : 114,741円 |
電力消費量/従量料金 | 2,794kWh / 64,169円 | 914kWh / 21,004円 |
電気料金合計 | 471,314円 | 135,745円 |
お客さまのエレベーターを遠隔で監視・診断し、1台1台の稼働データを収集・解析することで、それぞれのエレベーターに最適なメンテナンス計画を構築します。また、遠隔知的診断装置(ヘリオス)に遠隔点検機能を追加し、品質向上と停止時間のミニマム化を両立した高度なシステムを採用します。さらに、地震後、安全・迅速にエレベーターを自動で仮復旧する「ヘリオスドライブ」や、リモートメンテナンスシステムを利用したエレベーター制御、かご内液晶情報表示の遠隔設定サービスなど、最新の保全サービスを利用いただくことが可能です。
当社と保全契約が必要となります。
地震後、安全・迅速に自動で仮復旧
地震(震度5弱程度*2)によって運転休止してしまった場合、自動診断運転によってエレベーターの状態を確認し、運行上問題が無いと判断した際に、自動で運転再開(仮復旧)を行います。
万が一、故障によって利用者がエレベーター内に閉じ込められた場合、管制センターからエレベーターを遠隔操作し救出します。同時に専門技術者が緊急出動して、故障の点検・復旧を行います。
エレベーターの状況により、遠隔救出できない場合があります。
古いエレベーターが設置されてから現在に至るまで、災害などの影響で建築基準法は何度も改正されています。また、社会情勢の変化により、安全性の要求が高まるなど、エレベーターに関する社会的ニーズが大きく変化しています。リニューアルを考える上で物理的劣化だけではなく、社会的ニーズの変化にも対応させることが重要なポイントです。
●社会的要求の変遷
●安全マーク(エレベーター安全装置設置済マーク)
防災対策済のエレベーターには安全マークを貼り付け、利用者へ安心感を与えることができます。
マーク表示の使用許諾に関すること、制度の内容および貼り付け手続きについては、一般社団法人 建築性能基準推進協会ホームページにてご確認ください。
https://www.seinokyo.jp/evs/top/
リニューアルで、建物価値も向上
時代のニーズと技術の変化に合わせた性能・機能を盛り込んだことで、安全性はもちろん、利便性や快適性も大幅に向上します。見栄えもよくなり、建物全体の価値も高まります。また、「ユニバーサルデザイン」の採用により、利用者に優しいビルに生まれ変わり、ビルのイメージも向上します。