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ニュースリリース:2016年


2016年10月24日

エスカレーターの手すりの劣化を診断する装置を開発、運用を開始

株式会社日立ビルシステム(取締役社長:佐藤 寛)は、エスカレーターの手すり(以下、ハンドレール)の劣化を診断する装置(以下、新ハンドレール診断装置)を開発、メンテナンスでの運用を開始しました。これにより、外部からでは判定ができないハンドレールの劣化度合いを、内部まで高精度に診断できるようになり、今までより利用者の負傷事故を防ぎやすくなり安全性を大幅に向上させることができます。

イメージ図

図1:ハンドレールの断面構造

エスカレーターのハンドレールはゴムで作られていますが、長尺で回転するのでその強度を確保するため、内部に複数のワイヤーをより合わせて作ったスチールコードが埋め込まれています。このハンドレールは使用環境や経年によるゴムの劣化で、スチールコード同士が接触すると、一部が断線してしまうことがあります。そして、この断線したスチールコードの一部が、ハンドレールの表面に飛び出してしまうと利用者の負傷につながる恐れがあります。

このような現象を防ぐため、日立ビルシステムでは定期的にハンドレールの劣化診断を行って、適切なタイミングでハンドレールを交換するメンテナンスを行っています。この診断にはこれまでX線を使用した診断装置を使って、ハンドレールを正面から観察しスチールコードの異常を検出していましたが、この方法では異常に対して平面的な診断しかできませんでした。また、診断装置は大型だったため、診断はハンドレールを一旦エスカレーター本体から外して作業しなくてはならず、多くの手間と時間が掛かっていました。

今回開発した新ハンドレール診断装置は、日立の医療機器技術を応用したもので、磁力を使ってハンドレール内部のスチールコードの異常を立体的に捉えることができるようになります。これにより正確にハンドレールの状態を診断することができ、今後日立は、従来以上に高い保守・メンテナンスの品質を提供します。また、装置を小型化したので作業効率が大幅に改善され、ハンドレールをエスカレーター本体に付けたまま、診断作業を行えるようになりました。これにより、メンテナンス作業時間を大幅に減らすことができるので、メンテナンスによるエスカレーターの停止時間の短縮も可能となります。

日立ビルシステムでは本装置を活用することで、エスカレーターのメンテナンス品質のさらなる向上を図ります。

交流磁界を用いた磁気探傷の原理

2個の発振コイルで磁界を発生させ、中央に配置したセンシングコイルで検知した磁界の変化を電圧に変換して出力します。スチールコードに、よれや断線が発生している場合、磁界が変化して異常を検出します。

イメージ図

正常なハンドレール診断時の磁界

イメージ図

断線に触れると磁界が弱まる

図2:磁気探傷の原理

写真

図3:新ハンドレール診断装置

本件に関するお問い合わせ先

株式会社日立ビルシステム グローバル昇降機保全事業部 保全技術部 [担当:加 藤]
〒101-8941 東京都千代田区神田淡路町二丁目101番地
電話:03-3525-8569 (直通)

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