EC※1ビジネスが拡大する中、株式会社日立物流では高い技術力とサービス品質でEC物流をサポートするECプラットフォームセンター「スマートウエアハウス※2」を2019年9月よりスタート。最新の搬送システムにより省人化を実現した同センターでは、監視カメラ81台を導入しました。同センターの概要とカメラ導入の経緯について、日立物流の丹治岳士氏と藤原考輝氏にお話を伺いました。
主要幹線道路を活用でき、東日本はもちろん、全国配送もスムーズに行える埼玉県春日部市に2019年にオープンしたEC物流の代行センター「スマートウエアハウス」。設立の背景には、「受注が増えて出荷が追いつかない」「倉庫を増やしたいがコスト増になるのでは」「将来の物流体制に不安がある」といったEC事業者のさまざまな悩みに応えたいという思いがありました。さらに物流業界の中でも、EC物流は多品種の商品を箱に詰め合わせるなど細かい作業が多く、人手を要するため、人的ミスが起こりやすくなります。「これまで提供してきた、お客さまに合わせたオーダーメードの物流サービスでは労働力の確保が難しく、当センターでは複数のEC事業者さまで設備や空間、作業者など物流に必要なリソースをシェアリングする仕組みを取り入れています。加えて、物流工程の多くを機械化し、従来の倉庫に比べて自動化率72%を実現。1日に18,000箱の出荷が可能で、作業の標準化により人的ミスを軽減できるようになりました」(丹治氏)初期費用は不要で物量に応じた従量課金型を採用。固定費ではないため閑散期の無駄なコストを削減でき、事業の成長や拡大に合わせて、保管スペースを拡張することも可能です。「物流ノウハウに不安をお持ちのスタートアップやコロナ禍で店舗販売からEC事業にシフトした企業、拠点を拡大したい企業などさまざまなお客さまにご依頼いただいています」(丹治氏)
人による作業工数削減の一例。
搬送ロボットシステムが保管棚を
ピッキングステーションまで自動搬送する
EC事業を支える「スマートウエアハウス」が有するのは、倉庫内のワンフロア、約2,000坪のスペース。ここで入庫、保管、出庫が行われますが、多くの人手を要するピッキング、検品、梱包といった作業のほとんどを自動化。最新鋭の設備で大幅な省人化と効率化を図っています。「省人化をコンセプトに掲げていますが、開所当時はセキュリティ面は有人警備に頼っていました。2,000坪を監視するにはある程度の人員が必要ですが、有人警備業界も人手不足という実態を知り、そこに省人化の必要性を感じたため、監視カメラの設置を推進しました」(藤原氏)カメラの選定は、全国の日立物流倉庫にセキュリティ導入の実績が数多くある日立ビルシステム他数社に依頼。品質重視による仕様の変更など多くの要望に対する柔軟で迅速な対応を評価し、日立ビルシステムに発注を決めました。導入したのはバレット型67台と全方位型14台、レコーダー7台。人が立ち入れないエリアには、無人搬送ロボットなどが正常に稼働しているかを俯瞰できる360度の全方位型を設置しています。「死角を生まないカメラシステムにより、フロア全体のセキュリティを管理者が一元管理できるようになりました。また、副次的効果として、管理者が現場に常駐し、見回らなくても全体の作業状況を可視化できることも管理工数の削減につながり、ありがたいですね。当センターへのお客さまのご期待に沿えるよう、信頼維持とさらなる向上のため、セキュリティ体制を今後も強化していきたいと考えています」(藤原氏)
製函からピッキング、納品書投入、封函、箱へのロゴ印字、
送り状貼付まで全て自動で行い、省人化率72%を実現
バレット型67台、全方位型14台の監視カメラを導入。人が立ち入りできないエリアも360度カメラで俯瞰的にモニタリング
(左から)株式会社日立ビルシステム 首都圏支社 ソリューション第二営業部 志村 裕介、株式会社日立物流 営業開発本部 丹治 岳士氏、株式会社日立ビルシステム 関東支社 ソリューション部 宮澤 賢、株式会社日立物流 営業開発本部 藤原 考輝氏、株式会社日立物流 森内 宏一氏、株式会社日立ビルシステム 首都圏支社 ソリューション第二営業部 伊藤 禎、株式会社日立物流 廣江 悠輔氏、株式会社日立物流 山口 総志郎氏
広報誌BUILCARE No.213より