2010年5月7日
エスカレーターの制御方式をインバーター方式に更新する
「制御リニューアル」工事において、日中の稼働停止時間ゼロ*1を実現
5日間の夜間作業のみでリニューアルできる*2新工法を開発
株式会社日立ビルシステム(取締役社長:池村敏郎/以下、日立ビルシステム)は、経年化したエスカレーターの制御盤と駆動機を最新のインバーター制御方式に更新する「制御リニューアル」において、5日間の夜間作業のみで工事を完成させ、日中の稼働停止時間ゼロを実現する新工法を開発し、5月7日より提供を開始しました。「制御リニューアル」の標準的な工法では、夜間作業に加え日中にも一定時間エスカレーターを停止させる必要がありましたが、新工法では夜間作業のみでリニューアルを完了することができるため、商業施設等の営業への影響を軽減することができます。
日立ビルシステムは、設置から25年以上経過したエスカレーターを段階的にリニューアルする改修プラン*3のひとつとして、制御盤と駆動機を、株式会社日立製作所製の最新型エスカレーター「VXシリーズ」*4で採用しているインバーター制御方式に更新する「制御リニューアル」*5を2009年7月より提供開始しました。
「制御リニューアル」以前の改修工事は、エスカレーター全体を一式交換する「撤去新設工法」が主流で、約1ヶ月間稼働を停止して工事を行う必要がありましたが、「制御リニューアル」では、制御盤と駆動機の入れ替えで対応可能なため、21時から翌朝9時までの夜間作業を中心に6日間(5夜間)の工期で改修を完了することができるようになりました。しかし、6日間の工期のうち1日は、日中にもエスカレーターの稼働停止時間が発生し、従来に比べ工期が短くなったとはいえ、依然、商業施設などにおけるリニューアルの課題となっていました。
「制御リニューアル」では、1日目から3日目の夜間にインバーター制御に対応した安全装置の交換、4日目の夜間にインバーター用制御盤の交換、5日目の夜間にインバーター制御対応の駆動機の交換を行います。
2009年7月に開始した「制御リニューアル」の標準的な工法においては、制御盤と駆動機の両方がインバーター制御対応のものに入れ替えられた状態でなければ、エスカレーターが稼働しませんでした。したがって、インバーター制御対応の駆動機の入れ替えが完了していない5日目の日中は4日目の夜から連続してエスカレーターを停止させる必要がありました。
このたび開発した「制御リニューアル」の新工法では、改修工事の期間に、制御盤と駆動機の両方をインバーター制御対応のものに入れ替えていない状態でも、エスカレーターを稼働させることができ、「制御リニューアル」における日中の稼働停止時間をゼロにすることを可能にしました。
具体的には、インバーター用制御盤からの制御信号を、インバーター制御に対応していない入れ替え前の駆動機に対応した制御信号に変換する「リニューアル用インターフェース盤」を開発しました。この「リニューアル用インターフェース盤」は、インバーター用制御盤を介さず、建屋内の電流を直接回路に取り込む「直入れ回路」と、この回路からの出力電圧(200V)を100Vに降圧する「トランスボックス」で構成されます。新工法では、5日目の日中にのみ、仮設の「リニューアル用インターフェース盤」を介して、インバーター用制御盤から既設の駆動機に制御信号を送り、エスカレーターの稼働を可能にします。この後、5日目の夜間には駆動機をインバーター制御対応のものに入れ替え、「リニューアル用インターフェース盤」を取り外し、インバーター用制御盤とインバーター制御対応の駆動機の接続などを行い、リニューアルを完了させます。
エスカレーターのリニューアルは、特に商業施設などでは、これまで工事による不稼働時間が妨げとなって実施しづらいという問題がありましたが、日立ビルシステムでは今回の「日中の稼働停止時間ゼロ」を実現した新工法も活用し、経年化したエスカレーターを、安全性や省エネ性能に優れた最新のものに更新する提案を進めてまいります。
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