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株式会社日立ビルシステム

脱混雑 よりスムーズな移動へ

行楽シーズンや日ごろの通勤などで、
多くの人が一度に動くことにより生じる渋滞や混雑──。
本特集では、道路や電車での渋滞・混雑や、
エレベーターの長待ちの緩和に向けた取り組みをご紹介します。

渋滞研究の権威に聞く 東京大学 先端科学技術研究センター教授 西成 活裕氏

交通渋滞、エレベーターの混雑メカニズムから考える解消法

渋滞の発生原因やその対策などについて、「渋滞学」を提唱し、渋滞のメカニズムに詳しい東京大学 先端科学技術研究センターの西成活裕教授にお話を伺いました。

【高速道路編】
インとアウトの均衡が崩れると渋滞発生、後続車両はスローインを心がける

「渋滞」と聞くと、高速道路で立ち往生する車の様子が思い浮かびますが、実際は車に限った話ではありません。人やモノが密集して流れが悪くなり、停滞した状態は総じて「渋滞」だと考えられます。例えば、通勤・通学時間の混雑による電車の遅れ、人気のアミューズメント施設や飲食店の行列なども一種の渋滞です。

渋滞が起こる原因の多くは容量オーバー。入ってくる流れ(イン)が、出ていく流れ(アウト)の量を上回った結果です。一時的に流れが滞っても、インを控えることでアウトとのバランスが回復すれば、渋滞は簡単に回避できます。しかし、流れが滞っているにもかかわらず、インが増え続ければ、渋滞はどんどん大きく成長してしまうのです。

では、インとアウトのバランスを崩さないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。西成教授は「渋滞に遭遇したら、スローイン・ファストアウトを心がけることが重要」と指摘します。前方で渋滞が発生したことがわかると、多くの人は「早く抜けてしまいたい、少しでも先へ進んでおきたい」という気持ちになり、スピードを上げてしまいがちです。しかし、この行動は逆効果です。流れが滞っているところに、新たに流入していくことになり、渋滞を悪化させる原因になります。むしろ意識的にスピードを落とし、ゆっくりと進入することを心がけたほうが渋滞の解消につながります(スローイン)。

高速道路における渋滞発生の構造と解消法

【鉄道編】
乗り降りの遅延が「ダンゴ運転」を招く無理な乗車をやめて後続列車を利用

電車にも、渋滞が生じます。それが顕著なのは、数分刻みの密な運行表が組まれている都市部の通勤・通学時間帯です。1つの電車に遅れが生じると、その間に次の電車が到着してしまい、連なるように走行する「ダンゴ運転」という状態が発生しやすくなります。

ダンゴ運転は次のような悪循環を招きます。電車が遅れると、その間に増えた乗客によりホームの混雑が悪化します。当然、乗り降りにかかる時間も増えるため、ダンゴの先頭にある電車はさらに遅延し、後続の電車にも大きな影響を与えてしまうのです。

ダンゴ運転の解消に有効なのは、乗り降りをスムーズにすることです。ドア付近まで混雑した電車に無理に乗り込むことを一人ひとりが控えることが、全体がスムーズに移動するポイントになります。また、出口や階段付近の混雑しやすい車両ではなく、空いた車両を利用したほうがスムーズに乗り降りすることができるでしょう。

「われ先にと急ぐ気持ちを抑えて、それぞれが一歩譲る気持ちを持つと、渋滞は劇的に緩和します」と西成教授は示唆します。「急がば回れ」のことわざ通り、渋滞から早く抜け出したいときほど、譲り合いの精神で全体を最適化する行動を取ることが、最善策なのです。

渋滞対策として、最も即効性が高いのがインフラの整備です。恒常的に渋滞が発生する場所や時間帯は流れをコントロールする対策が必要です。鉄道事業者では、渋滞対策として区間ごとに信号を設置し電車間の距離を調整するシステムを運用しています。区間内に複数の電車が存在しないように制御することで全体の流れを最適化し、ホームの混雑状況が乗る列車によって偏りすぎないようにしているのです。

課題:ダンゴ運転の発生、対策:運転間隔の調整

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