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株式会社日立ビルシステム

特集:社会インフラを守るプロフェッショナル 確かな教育が確かな安全を支える

安全であることが前提の鉄道や昇降機、建物といった様々な社会インフラ。
その安全は、様々な教育を通して技術力や判断力を培ったプロフェッショナルたちによって、私たちの知らないところで支えられています。
そこで今回は社会インフラの安全を守るための取り組み、安全を守る人材を育てるための方法を紹介します。

「安全工学」のエキスパートに聞きました! 社会インフラの安全を守るエンジニア教育とは

 日本では長年にわたり、「技術は、先輩から盗んで覚えろ」といった風潮がありました。しかし、生活者が日常的に移動手段として使用する社会インフラの安全を守るうえで、その様なやり方は通用しません。製品の安全を保つには必要な技術を正確に覚えなければなりません。そして、そのためには、OJT*だけではなく、一定の研修期間を確保して、製品全体の仕組みと構造、そして、製品が設置後、どのように使用され、その結果、どのような故障を起こしやすいかといった製品全体のライフサイクルを体系的に習得できるカリキュラムが必要です。

*
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング) 職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて必要な知識・技術などを指導する教育手法。

育」ではなく「育」が重要

安全を支える学びのポイント

 特に、製品に関する原理原則を学ぶことは重要です。「なぜこの製品ができて、なぜこの機能があるのか」を深く知ることで、製品の特性を学ぶことができるからです。この学びによって、断片的な知識を持つよりも高い判断力や、臨機応変な対応力を身につけられるようになるのです。
 欧米には、原理原則を学べる場として、各種機器の「動態保存」を展示した博物館が数多く存在します。動態保存とは、蒸気機関車など、技術の発展により現在では使われなくなった機器が、動作可能な状態でそのまま保存されていることです。技術者は、それらを見ることで、機器に搭載されている技術に関する基本原理や歴史的背景を学ぶことができるのです。
 また、欧米企業の多くが、製品のメンテナンスに関する手順や方法などをマニュアル化し、経験にかかわらず、業務を遂行できるようにしています。日本に比べて労働者の流動性が高い欧米では、誰でも短期間で習得できる業務マニュアルを用意する必要があるのです。グローバル化が進む中、日本企業も見習うべき点の1つではないでしょうか。  加えて、メンテナンスエンジニアへの安全教育を実施する際には、座学だけでなく、実機を使った研修が不可欠です。それにより、製品に対する理解度が深まると同時に、現場に出た際に、“体験”による冷静な対応が可能となります。
 さらに、「教育」ではなく「考育」も安全を支える人を教育する際ののポイントです。考育とは「考えさせて人を育てる」ということです。故障の原因や、今後、同様の故障が発生しないようにするには、業務全体として、どのような改善が必要かといったことを、研修生一人ひとりが考える姿勢を育てるということです。

安全工学会会長 東京工業大学名誉教授 仲 勇治 氏

安全工学会会長 東京工業大学名誉教授
仲 勇治 氏

独立行政法人 科学技術振興機構科学技術プログラム推進部主管。
東京工業大学フロンティア創造共同研究センター教授を経て現職

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