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株式会社日立ビルシステム

暖房器具など火気の取り扱いも増え、空気も乾燥する冬場は、火災が発生しやすい季節です。 大切な財産、また命を守るために、今回は火災対策について考えてみましょう。
執筆=日野宗門(財団法人 消防科学総合センター 主任研究員)

建物火災の発生は1日約90件

出火原因のイメージイラスト

全国の建物火災は年間(2003年)で3万2534件、1日あたり約90件の火災が発生しており、その損害額も年間1300億円近くに及んでいます。その出火原因は第1位が「こんろ」、次に「放火」「たばこ」「放火の疑い」「ストーブ」「電灯・電話等の配線」の順となります。建物火災のうち、共同住宅だけをみた場合には、「放火」が原因の第1位を占めます。
放火対策の基本は、当たり前のことですが火をつけられるような可燃物を周囲に放置しないことです。階段やバルコニーなどの外回りに新聞・雑誌・家具などの不用品とみられる物が置いてありませんか。定期的な巡回によって、不用品の放置をチェックしたり、建物の周りを明るくするなど、放火されない環境づくりが大切です。

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数字はいずれも総務省消防庁資料「平成15年火災状況」による。

火災に早く気づくために

火災による死者の発生状況をみると、住宅・共同住宅における火災が全体の約9割(全国平均)を占めており、逃げ遅れ、発見の遅れが惨事を招く結果となっています。万が一、火災が発生した場合に求められるのは、「早く気づくこと」。これが被害を最小限に抑えるために必要であり、その対策としては火災警報器の設置が有効とされています。
現在、消防法では500G以上のマンションには火災警報器(自動火災報知設備)の設置が義務付けられていますが、東京都では火災予防条例の改正により、2004年10月1日からは10G以上の住宅を新築または改築する際には住宅用火災警報器の設置を義務付けることになりました。こうした設置義務の動きは全国各地でも検討が始まっています。

まさかのために避難路の確保を!!

避難路をふさぐゴミのイメージイラスト

2001年9月に東京・新宿区の歌舞伎町で発生したビル火災では、44名の方が犠牲となりました。防火戸も閉まらず、自動火災報知設備も作動しなかったのです。さらに避難ルートである階段にはさまざまな可燃物が大量に置かれ、火災が延焼拡大する要因となってしまいました。
火災発生時など万が一の場合に備えて2方向の避難ルートを確保しておきましょう。また、避難ルートとなる階段、廊下などに荷物を置くのは厳禁です。巡回の際には、階段や廊下はもちろんのこと防火戸、消防設備、出入り口のドア付近にも障害物が置かれていないかどうかチェックしましょう。「一日だけ、一晩だけなら置いてもいい」という気の緩みにも注意が必要です。

クリーンキャンペーンの印刷物の写真
避難ルートとなる階段や廊下には物を置かないで!
東京消防庁では毎年クリーンキャンペーンを展開している。

煙のスピードは速い

煙のスピードは条件によって大きく異なりますが、上方向には秒速3〜5mの早さで移動します。階段など上方向への空間がある場合、そこは煙突状態となり、煙があっという間に上昇してしまいます。横方向には、秒速0.5〜1mの速さで進みます。従って廊下などを水平に避難することに比べ、階段などで上階へ避難することは非常に危険になります。
オフィスビルの中はOA機器、プラスチック製品などが多く、いったん燃え上がると有害ガスを発生させます。吸い込むとたいへんなことになってしまいますから、煙が充満している中で避難する際は、できるだけ低い姿勢でかがみ、口と鼻にハンカチなどをあてて避難してください。

119番はあわてずに

119番通報の中には、「火事だ!早く来てくれ!」ガチャン、といったものも実際にあるそうです。それだけ気が動転していてパニック状態になり、自分の住所さえ伝えることができなくなってしまうのです。万が一に備えて、住所・建物名・電話番号・目標物(学校・病院など)を明記したものを電話機のそばに置いておきましょう。
最近では携帯電話やPHSからの119番通報が急速に増えていますが、通報した地点から離れた他の消防本部につながる場合もあるので、現在地(住所等)を正確に知らせる必要があります。また、通報後は119番(指令室)から逆に問い合わせがある場合もあるので、電源は必ず入れておきましょう。

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協力・資料提供:東京消防庁