ページの本文へ

Hitachi

株式会社日立ビルシステム

時代の流れに取り残されることなく、いつまでも快適な環境を保つには、時として竣工当初の性能を上回る改良工事を施す必要も出てきます。
今回は、そんな建物や設備のリニューアル・グレードアップについてふれます。
執筆=澤田博一(一級建築士)

構造のリニューアル

構造リニューアルのイメージ画像

用途変更のため再生された建物が、主に都心部に見られるようになってきました。代表的な例は、古くなって空き室が多いビルを、マンションに変えるものです。柱や梁などの骨組みをいじる場合は少ないようですが、間仕切りや設備配管などは相当大がかりな改修を行い、流行に敏感な人々が入居を希望するような空間作りをめざします。

外側から見るとそれほど大きく変わっているようには見えないものの、性能が大きく向上するものとして耐震補強が挙げられます。1981年(昭和56年)以前に建てられた建物は、現行の耐震基準に満たないものが多いため、耐震診断を行って柱や梁の補強や筋交い耐震壁の増設、エレベーターやその他の設備機器の耐震性能を上げることを優先的に考えていくことをお奨めします。

防犯対策と高齢者対策のために

改修後の共同住宅の写真画像
改修によりスロープが設置された共同住宅。

最近、ビルやマンションなど不特定多数の人が利用する施設での犯罪が増えています。これに対応するためには、出入り口をオートロック化したり、窓や戸に防犯センサーを取り付けたり、さらには防犯カメラを設置して犯罪の抑止に役立てる例があります。

高齢化に対応するために多く見られる事例としては、段差解消のスロープ設置や手摺りの後付けなどがありますが、エレベーターのない共同住宅にエレベーターを後付けするといった大がかりなリニューアル例も出てきました。

なお、エレベーター内にもカメラを取り付けると、犯罪の防止に役立つだけでなく利用者に安心感を与えることにつながります。

給排水設備のリニューアル

配管の更新に際しては、より耐久性の高いものを選ぶようにしたいものです。それと共に、機器や配管の支持が前述した耐震性の観点から充分かどうかの点検も欠かせません。また、建築分野との絡みでは、保守や清掃用の点検口が充分な大きさで点検しやすい所に作られているかもチェックポイントになります。

近年では、水槽を介さずに直接上水を建物各部に給水する、増圧直結給水システムも徐々に広まりつつありますが、これは水槽が不要になるため定期清掃費用を削減できるメリットがあります。一方では、給水管の腐食から生じる赤水の発生を防ぎ、さらに配管の延命にも効果を発揮するシステムも各種販売(脱酸素システムなど)されていますので、リニューアルの際には検討してみてはいかがでしょうか。

電気・空調・情報設備のリニューアル

電気幹線ケーブルの引き替えに併せて容量の増大を計る例が多く見られます。古い設備・機器を見直して更新する際には、できるだけ高効率で稼働して、エネルギーコストがかからない機種を選ぶ工夫が当然必要です。特にビルの消費エネルギーで多くを占める空調設備のリニューアルを進めることは、省エネルギー・経費の節減に大きく役立ちます。

日進月歩で進化する情報設備に対しては、将来の変化に柔軟に対応できるよう、二重床への改装や配線配管スペースの拡大、保守点検口の設置などを考慮する必要があります。

リニューアル作業のイメージ画像

空間のグレードアップ

ライトアップの写真画像
足下灯を設置すると落ち着いた雰囲気になる。

ビルのエントランスなどの場合、よく目にふれる床・壁・天井の仕上げ材を、自然色の少し落ち着いた色に変え、照明器具もそれに合わせて選ぶだけで、全体の雰囲気が大きく変わり格が上がります。基本的にグレーが混ざった中間色がお奨めで、仕上げ材の色選びもそれを基調として、なるべく単色の明度差でアクセントを付けるように考えるとうまくまとまります。

夜間の照明についてはすべての場所を明々と照らすのは、かえって空間を軽く見せますので、間接照明や足下灯を用いると奥行きが出ます。