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Hitachi

株式会社日立ビルシステム

給排水設備や電気設備は、人体にたとえれば循環器や神経にあたります。
柱や梁がいくら堅牢な建物でも、これらがよく機能しないと、快適な生活環境が得られません。
今回は給排水設備の劣化について考えてみます。
執筆=澤田博一(一級建築士)

(給水管)    赤茶に濁っていたらすぐに調査診断を

錆が出やすい亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)を、給水管として用いている例は、よほど古い建物以外見られなくなりました。しかし、内部を樹脂でコ−ティングした管を用いても、接合部(継ぎ手という)や異種金属との接触部(メ−タ−廻り)から錆が発生し【写真1、2】、上水中に溶け出して赤水障害を起こす場合があります。そのまま放置すると、飲料水基準に適さない水質になったり、管が破裂して漏水を起こします。朝、開栓一番の水が赤茶に濁っていたら、専門家の調査診断を受けることをお奨めします。

流し給水管の接合部の錆の状況を示す写真画像
1. 流し給水管(塩ビライニング鋼管)の接合部。錆が発生し、管路が狭くなっている。

流し給水管を半割にした状態の写真画像
2. 流し給水管(塩ビライニング鋼管)を半割にした状態。管端部から錆が発生している。下は酢洗いしたもの。

(給水機器)    定期的なオーバーホールで長持ちさせよう

オーバーホールを考えているイメージ画像

給水設備には、給水管の他にも水槽類や給水ポンプがあります。給水ポンプは、5〜6年ごとにオ−バ−ホ−ル(分解修理)を行うと長持ちします。水槽もFRP(ガラス繊維強化プラスチック)製の物が大半となりましたが、パネルが劣化して20〜25年で取り替え時期を迎え、現行の耐震基準を満たすものへ更新されます。また、給水システムそのものを見直す動きもあり、受水槽や高置水槽を介さずに、直接水道管から増圧ポンプで給水するシステムへ変更する例も出てきました(ただし、引き込み径が50mm程度まで)。

(排水管)    最初に傷むのが台所の雑排水管

専門家による調査診断のイメージ画像

便所の排水を汚水、台所や浴室・洗面の排水を雑排水と呼びます。経験則上最初に傷むのは台所の雑排水管で、亜鉛メッキ鋼管の場合20年前後で接合部のねじ底に穴があき漏水する例が多くあります。それに比べ、鋳鉄管が多く用いられる汚水管は寿命が長く、30〜35年程度が交換の目安です。予防保全の観点から、特に劣化が意識されなくとも竣工後20年前後に調査診断を行い、修繕計画をたてることが肝心です。【写真3、4参照】

流し排水管(塩ビ管)を半割にした写真画像
3. 流し排水管(塩ビ管)を半割にしたサンプリング管。油脂分の付着が見られる。左は酢洗いしたもの。

30年経過した流し排水管の内視鏡写真画像
4. 30年経過した流し排水管(配管用炭素鋼管)の内視鏡写真。

(排水機器・浄化槽)    交換の時期を把握しておこう

地下室を持つ建物などは、さらにその下に排水ピットを設け、一旦排水を溜めてから排水ポンプで下水管へ流す例もあります。この場合、排水ポンプは水中ポンプ形式が多く、給水ポンプより早めの15年程度で交換時期となります。また、下水道が完備していない地区に建つ建物は、浄化槽を設置しなければならず、その送風機やかき寄せ機などの機械類も10数年で取り替えを要します。

(埋設配管)    異常のチェックで修繕計画をたてよう

地中に埋設された給水管や排水管も、通行車輌による振動・樹木の根・地盤沈下などにより折れたり裂けたりする場合があります。埋設給水管は試掘や聴音による劣化調査を竣工後20年ぐらいで実施し、埋設排水管は、排水枡からの目視や枡相互のレベル測定、流水試験などを竣工後30年程度で行い、異常の有無をチェックし今後の修繕計画をたてます。